- ガンダム好きの多いバンダイの中においても、飛び抜けてガンダムを愛する3人の男たち。彼らこそ、今、人気のガンダム・ゲームのプロデューサーたちだ。彼らが語るガンダムの、そしてガンダム・ゲームの魅力。『GUNDAM
OFFICIALS』への期待をお届けしよう。
■ガンダムとのつきあいは?
- 牛村 最初は、ガンプラですね。ちょうどブームのころで、ガンプラにはまっていた友人にいろいろ教えてもらっているうちに、私もはまったんですね。それで、もともとシミュレーションゲームが好きで、大学の時にサークルとかにも入っていたんです。それで、ファミコンディスクシステムの『SDガンダム ガシャポン戦記』とかで遊んでいたら、たまたまアルバイトでバンダイでゲームのデバッグをやらせてもらって。それが縁でバンダイに入ったという感じですね。
稲垣 僕もやっぱりガンダムのプラモデルから入った口ですね。本放送当時は小学3年生で、たまたまミハルの死ぬ話だけを見たんですけど、その前後はぜんぜん見てなかったのでお話は理解できなくて。ただ、そのときもロボットは格好いいなと思って、そこからプラモも格好いいな、ガンダム作って乗りたいな、という『プラモ狂四郎』感覚で。それで、僕がバンダイに入って3年くらいしたころに、PSの『機動戦士ガンダム』やスーパーファミコンの『クロスディメンジョン0079』なんかが出て、今につながる大人のユーザーを対象にしたガンダム・ゲームが出るようになった感じですね。それで、ガンダム好きのバンダイのゲーム開発チームの中でも特に好きだった、僕や牛村さんがガンダム・ゲームに関わるようになったんですよね。
堀内 僕も世代が一緒なので、やはりガンプラからですね。当時から戦車とか、ミリタリー系のものが好きで、それと共通点があったんでしょうね。戦車のジオラマとか作るのが好きだったので。もともと、絵を描いたり音楽を作ったりするのが好きだったので、バンダイに入ってからはいつのまにかガンダムを使ってゲームを作らせてもらっていた、という感じですかね。
牛村 ガンダムって、好きな方が大勢いて。みなさんそれなりに自分のガンダムを持っていると思うのですが、それを納得していただけるような形にできるかがむずかしいですね。自分としては、連邦でもジオンでも、いろいろな形で遊べるというのをやってみたかったので、『ギレンの野望』みたいなのを作ったりしたんですよね。もともと、ボードのウォー・シミュレーションゲームが好きだったので、それを取り込んだゲームを作ってこられたのは自分としては、うれしいですね。
稲垣 僕はやっぱりガンダムを動かしたいというのが昔からあったので。それでプラモデルも作っていたわけで。プレイステーションの開発が始まった頃、プラモデルと同じような立体物がゲームのモニターで回っているのを見て「これはすごいな。ついにこんな時代がきたか」と。わずか5年前なんですよね。その後、『ガンダム外伝』や『Zガンダム』といったゲームを自分で担当するようになって。それは一貫して自分でガンダムを操縦するという形にしたかったので。プレイヤーがガンダムを操縦するゲームを作ってみて、やはり嬉しいですよね。ですから、『Zガンダム』では1対1、ある意味思い切って割り切った作品にしてみましたし。サターンの外伝に関しては、1作ごとに操作性とかも改良してもいきました。先ほどの牛村の話にもありましたが、ガンダムのゲームって、かならずユーザーから思い入れたっぷりの意見がきますから、そういうのもどんどん生かして、操作性も改良していったわけです。
堀内 僕の場合は所属がSWANチームなので、ワンダースワンという素材の中で、ガンダムをいかに表現するかという課題をつねに与えられていて。ふつうのコンシューマー・マシンとは違う、どこでも遊べる携帯マシンの中で表現するという。その中で、ユーザーさんはどんなガンダムを遊びたいのか。お話がいい、ミリタリー性がいいなど、いろんな方向性があると思うんです。それをいろんな角度から伝えてあげる。全部はできませんから、何が面白いのかというのを作品ごとに伝えてあげる。逆にそれができるのはワンダースワンというハードですから。それがひとつ大変なことでもありますし、おもしろい部分も含まれてきますし。大人になって改めてガンダムを見ると、お話だったり、人物関係だったり、アイデンティティだったりとすごく引かれるものがあるんですけれど。今回のSWAN版『ガンダムVol.1
SIDE7』では、そういったキャラクターのアイデンティティやアムロを中心としたお話の部分に重きをおいてやってます。いろんなベクトルの面白さがガンダムのゲームを作っていると思うんですけれど、その中のひとつが、この方向性ということで。それに、今回はワンダースワンカラー専用作品なので、大きい絵をぶちこみたいという方向性もあって、これが一番かなと。
■宇宙世紀を描くためのサンライズとの共同作業
- 牛村 オリジナルMSの設定などを考えるときは、サンライズさんを交えての会議となるんです。いい意味で盛り上がっていると思うんですが……長時間かかってけっこう大変ですね(笑)。
稲垣 『SDガンダム GジェネレーションF』のときでしたっけ? いい大人が何十人も集まって、ドムのバリエーションについて延々と話し合ったり(笑)。
牛村 ドムのバリエーションの設定を起こしたのですが、そのために「『ガンダム0083』の後ろに一瞬写っているドムはなんだっけ?」とか「ここの形は一年戦争の時代にはないからさっきの案はダメだよ」みたいな感じで延々と話し合いをしているわけです。サンライズのガンダム課の人たちをはじめ、日本でそういう話ができるのは数人しかいないであろう人たちが集まってそういう話を(笑)。その晩に矛盾を見つけたとFAXが回ってきたり(笑)。
稲垣 そういう話も面白いんですけどね。面白いんですけど、商品の発売日は決まっていて、発売日に会わせてホビーやカプセル、カードから商品を合わせて出したいというのがあって。でもデザインが決まらないことには商品は出せませんから。
牛村 あと、ルウム戦役とか一週間戦争。ガンダムの設定本では、必ず文章で触れられているけど、まだ誰もその映像を見たことがないものがありますよね。それで、できればゲームの中でそのアニメーションを作りたい、入れたいというのがありまして。それを最初にサンライズさんに提示させていただいたときに、監督・コンテを土器手司さんがかなりのってやってくださったんです。まあ『ギレンの野望』では歴史のifを描いているんで、逆に裏側から見た映像とかも入れたいなというのがあったんで、そういう意味でもサンライズさんにもいろいろご協力いただいて、いいものができたと思います。
――やはり、みなさん各々がガンダム者として濃い?
牛村 そうですね。やっぱり見ていて、みんなガンダムが好きなんだなというのがありますし。やっぱりゲーム開発で最後の方になると忙しくなって。開発だけでなく宣伝もしなきゃならないですから。自分のガンダムのゲームということで好きでこだわってやってるんだなと。僕は結構シミュレーション系なので、オリジナル要素を作っているところも多いんですけど、稲垣はアクション系で、原作に沿ってというところで、ゲームとしてきれいにまとめていますよね。SDガンダムは、SDだから許される部分があると思うので、原作のイメージを損なわずにうまくやらなきゃいけない部分はありますしね。
稲垣 僕はシミュレーションよりもアクション系やストーリーを重視したゲームプロデューサーなので、そういう意味では牛村さんの『ギレンの野望』や『Gジェネレーション』は作れないですね。堀内さんは携帯ゲーム機でガンダムを表現するということに秀でている部分があると思うので。自分がやったことないということもありますが。これからも、携帯ゲーム機で僕らを楽しませてくれるガンダムを作ってほしいですね。あと、牛村さんはデバックとかで体力的に辛くなっても、寝ないでいつまでも会社にいられる体を持っているのがかないませんね。僕は軟弱者なのでとても真似できません(笑)。
牛村 セイラさんに言ってもらえたんだよね(笑)。
稲垣 ええ(笑)。ゲームのイベントで井上さんに生で言ってもらえました。
――『GUNDAM OFFICIALS』のカイ・シデンの項目には軟弱者というのも入っていますから(笑)。
稲垣 これは……すごい本ができましたね。
堀内 僕は何でも屋で中途半端ですから。もう畏れ多くて。牛村さんや稲垣さんのおふたりともエキスパートですからね。まあ、僕は携帯ならではのゲーム、ダウンサイジングしたところで今までにない面白さを出せればいいな、と。
■『GUNDAM OFFICIALS』がゲーム制作に与える影響は?
- 堀内 出ると困りますね(笑)。できれば、僕たちだけに売ってください。
稲垣 でも、困ったときに助かりますよ。これが一番正しいとわかりますから。
――いや、異なった情報も併記するようにしてますので、一番正しいかどうかは決められないんじゃないかと……。
稲垣 ああ、そうなんだ。
牛村 でも、今まではけっこう曖昧なところがあったと思うので。ここから調べて自分なりにいろいろと膨らませていける、そのための資料としてまとまっているものなので非常に助かりますね。ちょっとしたこともすぐ調べられますし。ファンの人にも史実がどうだったのか調べてもらって、実際にゲームと引き比べて自分がゲームをこう変えて行きたい、と思ってくれればと思いますね。
堀内 とにかく……すごいですね。
――巻末付録には、詳細年表やモビルスーツのスペック一覧、開発系統図ものっているんですよ。
牛村 系統図は『SDガンダム』とかに有効でしょう(笑)。
堀内 これからは、僕たちもきっとこれをもとにゲームを開発していくので、モビルスーツの開発とかに行き詰まったら参考に……なるといいですねえ。2月1日にワンダースワンカラーの『機動戦士ガンダムVol.1
SIDE7』が出るんですが、劇場版と同じ3部作にな予定です。一年戦争の基本という部分を1話1話濃く描いていますので、それで予習したら、『GUNDAM
OFFICIALS』を予約して、しっかり復習してください(笑)。
稲垣 PS2の『機動戦士ガンダム』の続編で宇宙編を、ファンの期待を裏切らないようにがんばりたいですね。それと、0085年とか0086年に何があったのかというのを描く外伝を、サンライズさんと相談しながら進めていけたらいいですね。
牛村 PS2ソフトの第2弾としてリアルタイム・シミュレーションとして、ジオン側からの戦いを描いた『ジオニックフロント』というのを夏頃に出す予定です。今までとは違った形のものになると思います。『GUNDAM
OFFICIALS』が資料として大いに参考になると思いますし、またそこから発想して新しいものを作ることもできると思いますので、大いに期待してください。
文:池上隆之
うしむらのりひこ
バンダイ、コンシュマー事業部ビデオゲームチームのプロデューサー。『SDガンダムGジェネレーション』シリーズや『機動戦士ガンダム ギレンの野望』シリーズなどシミュレーション系ガンダムゲームのプロデューサーとして活躍。ガンダム系以外では『オウバードフォース』などのプロデューサーも務める。今回登場いただいた3名の中では一番の先輩にあたる。一番好きなモビルスーツはアッシマーで、秘かにMGアッシマーが発売される日を待っている。 |
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いながきひろふみ
バンダイ、コンシュマー事業部ビデオゲームチームのゲームプロデューサー。PS版の『機動戦士ガンダムVer.1.0』にアシスタントプロデューサーとして参加。続いて『機動戦士Ζガンダム』、『機動戦士ガンダム
逆襲のシャア』、『機動戦士ガンダム外伝』シリーズといったアクション系ガンダムゲームのプロデューサーを務める。最新作はPS2版の『機動戦士ガンダム』。一番好きなモビルスーツはΖガンダムで、もちろんPGも買っている。 |
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ほりうちよしやす
バンダイ、コンシュマー事業部SWANチームのプロデューサー。『SDガンダムギャザービート』と『SDガンダムエモーショナルジャム』などを担当し、この2月に発売されるワンダースワン専用『機動戦士ガンダムVol1
SIDE7』の開発も担当。一番好きなモビルスーツはカスタマイズされていないザク。ザクタンクのような現地改修型はOK。 |
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